電気の基礎知識

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知っておきたい電気の基礎知識 電力と屋内配線について

キッチンで料理をしているときなどに、分岐ブレーカー(一般的にブレーカーと呼ばれるもの)が落ちたことありませんか。消費電力や屋内配線について知ると、ブレーカーが落ちないように注意すべきことなど、安全に家電製品を使うポイントが分かりやすくなります。

消費電力と電流、電圧について

まず、電気にまつわる基本的な単位は次の3つです。

電流:アンペア(A) 電気の流れの大きさ
電圧:ボルト(V) 電流を流す力の大きさ
電力:ワット(W) 電気がする仕事の大きさ

各家庭やコンセントにどれだけの電気を流すかは、「アンペア」で表わします。家電製品にも書かれている「消費電力」とは、その製品がどれくらいの電力を使うかを表しています。

屋内配線のしくみ

電気はどのようにコンセントまで届けられるのでしょうか。
各家庭に届けられた電気は、分電盤を通って各部屋へ割り振られます。分電盤は住まいの安全を守る役割もしています。

屋内配線のイメージ図

(1)分電盤
電力会社から各家庭に送られた電気を各部屋に分配する装置です。電気容量がオーバーしたときなど、事故にならないように自動的に電気を切り、住まいの安全を守ります。

(2)主幹ブレーカー(漏電ブレーカー)
屋内配線や家電製品が万が一漏電したとき、その異常を感知して自動的に電気を止め、火災や感電の事故を防ぐ安全装置です。

(3)分岐ブレーカー(配線用遮断安全ブレーカー)
分電盤から各部屋あるいはコンセントに電気を運ぶ回路(分岐回路)に、容量以上の電気が流れたときに、その回路のみを遮断し、家全体の電気が止まるのを防ぐための装置です。一般的には20Aです。

(4)アンペアブレーカー(電流制限機、リミッター)
電力会社との契約電流以上の電流が流れると、自動的に電気を止める装置です。電力会社によっては設置が不要です。

同時に使える電力の大きさ

コンセントやブレーカーには、同時に流せるアンペア数の上限があります。

一つのコンセントで、何ワットまで使えるか?

電流、電圧、電力の関係は次の式であらわされます。

電流(A) × 電圧(V) = 電力(W)

一般的なコンセントに流せるアンペア数は15 Aまでです。一般家庭用の電圧は100 Vです。一つのコンセントで合計1500 Wまで使うことができます。

15A×100V(一般家庭の電圧)=1500W

一つの回路で、何ワットまで使えるか?

一般的なブレーカーは20Aです。よって、一つの回路で合計2000Wまで使うことができます。

20A×100V(一般家庭の電圧)=2000W

◆ 200V用の配線
電気が送られてくる配線には、100V用の他に200V用のものもあります。多くの電力が必要なエアコンやビルトインIHクッキングヒーターなどの200V機器に使われます。

100V用配線のイラストと200V用配線のイラスト

※イラストは一例です。

ブレーカーの遮断を避けるために

一つの回路には複数のコンセントがつながっています。複数台の家電製品を同時に使う場合、各コンセントの回路と各家電製品の消費電力を確認し、容量以上の電気が流れないように気を付けましょう。

例)オーブントースター(900 W)とミキサー(200 W)の場合 900 W + 200 W = 1100 W < 2000 W 合計が2000 Wより小さいので、同時に使えます。コンセントも1500 Wまで使えるので、問題ありません。
例)オーブントースター(900 W)とミキサー(200 W)、電子レンジ(1000 W)の場合 900 W + 200 W + 1000 W = 2100 W > 2000 W ひとつの回路で使える電力の上限を超えるので、同時に使うとブレーカーが落ちてしまいます。

電気料金を算出するには

消費電力量(Wh)は、その製品が1時間に使う電気の量です。この消費電力量から電気料金を計算できます。

電気料金=消費電力量(kWh)(1000Wh=1kWh)×27円(目安単価*)

消費電力量(Wh)は、その製品が1時間に使う電気の量です。この消費電力量から電気料金を計算できます。

例)1000 Wの電気ストーブを2時間使った場合

1000W×2時間=2000Wh(2kWh)
2kWh×27円=54円

*新電力料金目安単価(1時間に1000W使用)27円/kWh(税込)〈家電公取協調べ〉

◆ 契約電流(契約アンペア)とその決め方

契約電流とは、各家庭で同時に流せる電流の大きさのことです。四季を通じて、一日のうち最も多くの家電製品を一度に使う時間帯をもとに決めましょう。使う電力量に応じた契約電流にすることで、節電や電気料金の節約にもつながります。

*契約電流の設定がない電力会社もあります。

例)冬の夕方頃、照明器具(500W)、暖房器具(1800W)、キッチン家電(2000W)、テレビ等(100W)を使うと想定した場合

一度に使用する電力量
500W+1800W+2000W+100W=4400W

その時に必要なアンペア数
4400W÷100V=44A

この場合、将来使う家電製品が増えることを見込んで、契約電流を50Aにするとよいでしょう。

感電事故を防ぐ「アース」

アースとは、電気を地中に逃がすことで、過電流が機器に流れ込むことを防ぎます。その接続線が、洗濯機や、電子レンジなどについている緑色の線です。家電製品が漏電したときに、人への感電を防止します。アース端子付きコンセントの場合は、ご自身で接続できます。アース端子がない場合は、工事が必要です。アース接地工事は電気工事士が行うことが法律で義務付けられています。販売店や電気工事店にご相談ください。

アース端子付きコンセントのイラストとアース端子のないコンセントのイラスト

※イラストは一例です。

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